さくらももこさんの訃報に接して。
1989年の講談社漫画賞をさくらさんが受賞した時や何かほかの集まりでお会いしてお話したことがあります。さくらさんも私の作品を読んでくださっていたので、少しだけお話できたのを今も光栄に思っています。
世間的には「ちびまる子ちゃん」や「コジコジ」の作者としてあまりにも有名な方ですが、昨日の訃報に際して私が真っ先に思い出したのは、1990年ごろビッグコミックスピリッツに連載されていた『神のちから』という作品集でした。
一読して目をむきました。ヤバい…この人、宇宙と交信している…?!どこか遠いところからの電波をキャッチしている…?もはや面白いとか面白くないとかの前に恐怖を感じたのを今も覚えています。それなのにあの穏やかで可愛らしいたたずまいの女性だということにも畏敬の念を感じた。本当の天才というものは凡才を蹴散らしてしまうもので、当時の私は自分にはちゃんとした才能などないことを嫌と言うほど思い知らされていたので、さくらさんの作品にはそれ以後、テレビでやってる「ちびまる子」ちゃん以外はあまり見ないようにしていました。
『神のちから』のラストに載っていた『コンスタンチノープルの思い出』という短いエッセイのタイトルを見て、「旅行記…?」と思って読み始めたら、最初の行から「行ったこともないコンスタンチノープル…」などと書いてあって本を落としそうになった。
あまりのことに半日くらい目が泳いでました。
真の天才でした。心からの尊敬をこめて…さくらももこさん、心よりご冥福をお祈りいたします。